2011年2月16日水曜日

<金>連日の高値更新 ユーロ不安で資金流入

 12日のニューヨーク市場で、欧州各国の財政悪化懸念から投資家のリスク回避の動きが強まり、「安全資産」の金の先物相場が続伸した。指標となる価格は、11日に前日終値比19.50ドル高の1オンス=1220.30ドルまで上昇し、終値ベースで史上最高を更新。12日も通常取引前の時間外取引で一時1オンス=1245.40ドルと取引途中の史上最高値をつけた。【柳原美砂子、ロンドン会川晴之、ワシントン斉藤信宏】

 連日の高値更新の背景には、ギリシャの財政危機などに伴う欧州単一通貨ユーロへの信認低下がある。

 危機回避のため、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)は最大7500億ユーロ(約90兆円)の大規模な融資枠設定で合意、欧州中央銀行(ECB)もユーロ圏の国債購入に踏み切った。だが、EUが合意した融資枠や、ECBによる国債買い入れは、財政難の加盟国のリスクをEU全体で引き受けるもので、ユーロの信用力に大きな影響を与える。合意発表から2日たった12日の東京市場で、ユーロへの売り圧力が再燃したのはこのためだ。

 米国でも08年秋のリーマン?ショック以降、住宅ローン市場再生に向け、米連邦準備制度理事会(FRB)が、住宅ローン担保証券(MBS)や政府機関債の買い取りに踏み切り、今年3月末までに総額1兆4200億ドル(約130兆円)を購入。さらに中長期金利を抑えるため、長期国債も約3000億ドル購入し、資産規模をリーマン?ショックの直前の約9000億ドルから約2兆2400億ドルまで膨張させた。ECBも資産規模の拡大につながりかねない国債購入に踏み切ったことで市場では「ユーロの過剰な流通に伴うインフレ懸念が強まっている」(米CNBCテレビ)。その結果、「世界全体で通貨の価値が低下し、インフレが進む」(米エコノミスト)と見た投資家が金に資金を移していると見られる。

 金は、戦争などの際に価格が上昇するため「有事の金」と呼ばれる。過去には旧ソ連がアフガニスタンに侵攻した直後の80年1月、国内の現物価格が史上最高値を付け、09年11月のドバイショックでも金が急騰した。金市場に詳しいワールド?ゴールド?カウンシルの豊島逸夫日韓地域代表は「主要通貨への不信感が強まり、投資資金が金に集中している。金の上昇基調は当面続く」とみる。

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引用元:エターナルカオスNEO(NEO) 情報局

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